AI時代、エンジニアが生き残る為には
はじめに
ここ数年で、AIは一気に身近な存在になった。
今では街の子供たちですら、「チャッピー」などと愛称で呼び、気軽に会話している。
エンジニアの働き方も、大きく変わった。
コードを書く、設計を考える、ドキュメントをまとめる。
かつて人間が時間をかけてやっていた多くの作業を、AIが一瞬でこなす。
もちろん、私自身もその変化の渦中にいる。
仕事の進め方はここ数年で大きく変わり、「AIなしでは考えられない」場面も増えた。
同時に、こんな問いが頭から離れなくなった。
この先も、エンジニアという仕事は続けられるのだろうか。
AIが進化する中で生まれた、不安
AIは、これまでエンジニアが担ってきた仕事の大半を、かなりの精度でこなせるようになった。
コード生成、リファクタリング、設計案の提示、レビュー。
「それなら、人間は何をすればいいのか」
「自分の価値は、どこにあるのか」
そんな自問自答を、私も何度も繰り返してきた。
AIが便利になるほど、
自分が”不要になっていく感覚”を覚える瞬間がある。
この不安は、決して私だけのものではないと思う。
AIの得意なこと、苦手なこと
ここで一度、AIの性質を冷静に整理してみたい。
AIが得意なこと
AIは、「問われたことに答える」ことが圧倒的に得意だ。
要件が明確であればあるほど、驚くほど良い答えを返してくる。
逆に言えば、
「何を問うべきか」を自分で見つけることは、まだ苦手
だと感じている。
AIが本当に苦手なこと
それは、現実世界との接点だ。
私はロボット開発をしている。
ソフトウェアが物理世界と直接交わる領域にいる。
コードを書くこと自体は、AIにもできる。
しかし、
- 実機でモータがわずかに振動している原因を、音や感触といった五感で察知すること
- 現場で「この動きは人間にとって怖い」と直感的に判断すること
- クライアントの曖昧な言葉から、本当に必要なロボットの振る舞いを定義すること
こういったことは、今のAIには出来ない。
現実世界はノイズだらけで、曖昧で、正解が一つではない。
そこに向き合い続けること自体は、価値になると感じている。
エンジニアにこれから効く力
では、AI時代にエンジニアが価値を保ち続けるために、何が必要なのか。
今のところ、私がたどり着いた答えは次の4つだ。
1 問題を定義する力
AIは「〇〇をやって」と言えば、驚くほど正確に実行する。
しかし、「そもそも何をやるべきか」を決めることは出来ない。
ロボット開発では特に、
- 物理的制約
- 安全要件
- ユーザー体験
を同時に考えながら、「作るべきもの」を定義する必要がある。
この力の価値は、AIが進化するほど高まっていくと思う。
2 AIを「道具として使い倒す」力
AIを恐れる人より、AIを徹底的に使ってアウトプットを10倍にする人が生き残る。
コード生成、設計レビュー、ドキュメント作成。
AIに任せられることは、全部任せていい。
その分、人間にしか出来ない判断や思考に時間を使う。
これが、今の所合理的なスタイルだと感じている。
3 領域横断の統合力
ロボット開発は、メカ・エレキ・ソフト・UX・安全規格など、複数の領域が交差する。
各分野の「それなりの答え」はAIでも出せる。
しかし、それらを一つのシステムとして統合し、
トレードオフを判断するのは、人間の仕事だ。
経験と文脈を持った判断は、まだAIには難しい。
4 責任を取る力
ここが、一番重要だと思っている。
AIは提案はできるが、責任は取れない。
「この設計で安全だ」と最終判断し、署名できるのは人間だけだ。
特に、人の近くで動くロボットでは、この責任の重さがそのまま価値になる。
結論
私の今の結論は、こうだ。
「エンジニアの仕事がなくなる」のではなく、
「AIを使わないエンジニアの仕事がなくなる」。
そして、
ソフトウェアだけで完結せず、物理世界と格闘するロボット開発は、AIによる代替が最も遅い領域の一つだと思っている。
これまで通り、最新動向をキャッチアップし、素早く適応していく限り、エンジニアとして生き残ることができると信じている。